【2025年法改正まとめ】省エネ・確認申請・木造構造ルールの主要3改正をわかりやすく解説!(建築基準法)

2025年4月、建築に関する法改正が本格的に施行されました。

今回の法改正は、「ただの一部改正」ではありません。
建築実務そのものの進め方が変わるレベルの大きな変化です。

この記事では、とくに実務者・受験者が押さえておきたい

  • 省エネ法の適合義務化
  • 4号特例の見直し(確認申請の対象拡大)
  • 木造構造ルールの見直し(高さ制限・計算式の変更)

という3つの主要トピックに絞って、
全体像をつかみやすいようにまとめました。

「それぞれの詳しい内容は別記事でチェックできるように」
「でもこの記事だけでも、大まかな理解はできるように」

そんな構成を意識しています。

「とにかく何が変わったのか、ざっくり把握したい!」

という方は、目次から気になる項目だけでもぜひ読んでみてください◎


※ この記事では、色分けする場合、改正前・改正後の違いがパッとわかるように
 改正前の内容を青色、改正後の内容を赤色で表記しています。
 (図表部分は国交省資料の色に準じているため、全体が統一されていないこともありますがご了承ください)

目次

はじめに|2025年の法改正、ここを押さえよう

改正の背景と全体像

2025年4月、建築関連の法律が大きく変わりました。
今回の法改正は「細かい見直し」ではなく、建築のつくり方そのものに影響を与えるような本格的な改正です。

背景にあるのは、日本が掲げる**2050年カーボンニュートラル(脱炭素社会)**の目標。
その達成に向けて、建築分野にも大きな変化が求められているというわけです。

改正の柱は、大きく3つあります:

  • すべての新築に省エネ基準への適合を義務化
  • 確認申請の対象を拡大(4号特例の見直し)
  • 木造建築に関する構造ルールの見直し(高さ制限の緩和など)

さらに、防火規制や既存建築物の扱いなども一部見直され、**「省エネ」「木造推進」「既存建築の活用」**という3つの軸で制度が整理されました。


実務と試験への影響は?

実務への影響

実務では、主に確認申請や設計図書、構造審査の範囲が広がったことが大きな変化です。

  • これまで申請が不要だった小規模な木造住宅も構造審査の対象に
  • 新築だけでなく、一部の増改築にも省エネ基準の適合が必要に
  • 提出図書が一部合理化される一方で、仕様書の記載内容がより重要に

つまり、これまでの申請では通らなくなるケースが増えてきています。

一級建築士試験への影響

令和7年度(2025年度)以降の試験でも、今回の法改正は確実に出題範囲に含まれます

とくに試験で問われそうな大きなポイントは以下の通り:

  • 省エネ基準の義務化と適判のルール
  • 4号特例の見直しと“新2号建築物”の取り扱い
  • 構造規定の変更(高さ制限の緩和・壁量計算の見直し)

出題される内容は、実務と強く結びついたものばかり。
「ルールとして何がどう変わったか」を、図解などを使って具体的に理解しておくことが求められます。


このあと紹介するのは、法改正の中でも特に重要ポイントです。

要点だけを整理してお届けしているので詳しく知りたい方は、それぞれのテーマについて、別の記事でより具体的にわかりやすく解説しているので、この記事を読みながら必要なところに飛んでみてください

読みやすさと情報の取りやすさを大切に、全体像がつかめる構成にしているので、
気になるところからでも気軽に読んでください~◎

ポイント①|省エネ法の改正:原則すべての新築に「適合義務」

2025年4月の法改正で、これまで「説明義務」で済んでいた小規模建築物も、原則すべて「適合義務」対象になりました。

いよいよ、省エネ基準が“特別なもの”ではなく“あたりまえのルール”になってきた印象です。

こちらの記事で詳しくまとめています


何が変わった?適用範囲と適判の扱い

これまでの省エネ法では、

  • 300㎡以上の建物 → 適合義務 or 届出
  • 300㎡未満の建物 → 建築主への説明義務(実質スルー可)

という区分でしたが、今回からは基本的にすべての新築建築物(10㎡超)が「適合義務」扱いになります。

省エネ法の適合義務の一覧表
参照:国土交通省「改正建築基準法について」

「説明だけでOKだった建物」が、これからはちゃんと設計段階で省エネ性能を確保していく必要があります。

とはいえ、ここでひとつ注意なのが「省エネ適合性判定(=省エネ適判)」の扱いです。

ほぼすべての建物に「適合義務」があるけれど、「適判が必要な建物」と「不要な建物」がある、という点はしっかり分けて覚えたいところです。


試験で出やすい例外3パターン(省エネ適判が不要なケース)

適合義務はあるけれど、「省エネ適判」が不要になる建物は大きく3つのパターンがあります

省エネ法の適合義務が不要なケースをまとめた国交省資料(加筆あり)
参照:国土交通省「【建築物省エネ法第11・12条】 適合性判定の手続き・審査の合理化について」
※わかりやすくするために枠線など一部加工を加えています

① 建築確認がそもそも不要な建物(都市計画区域外・平屋・200㎡以下)
→ 例:農地に建てる小屋など

② 小規模住宅で構造・防火面も省略できるもの(都市計画区域内・平屋・200㎡以下)
→ かつ、建築士が設計・監理していることが前提

③ 仕様基準で確認できる建物(省エネ計算ナシでも可)
→ 例:長期優良住宅や性能評価済住宅など

このあたりは「適判がいらないだけで、基準には適合してね」というお話なので

「省エネ法の対象じゃないんだ~」と誤解しないように注意しましょう!

お茶島

「省エネ適判が不要」=「省エネ設計しなくていい」ではない!
この誤解、試験にも実務にも影響するから注意です。


詳しい内容はこちらの記事で図解たっぷ~りで解説しています
省エネ法のまとめを見る

ポイント②|建築基準法6条の見直し:「4号特例」がなくなった

2025年4月の改正では、建築基準法6条、つまり「建築確認が必要な建物の範囲」が大きく見直されました。

こちらの記事で詳しくまとめています

確認申請の対象が拡大!どこまで審査される?

これまでの「4号特例」によって、小規模な木造住宅などは構造や防火に関する審査が省略されていましたが、その特例が【廃止】され、対象が広がったのが今回のポイントです。

とくに注目なのが、新たに設定された「新2号建築物」。

建築確認対象の資料(国交省)
参照:国土交通省「改正建築基準法について」

都市計画区域内に建つ2階建ての木造住宅であっても、延べ面積が200㎡を超えるものは、この「新2号」に分類され、壁量や柱の小径、構造計算までしっかり審査されるようになりました。


構造図書の提出が必要になる場面とは?

この法改正で、提出する図面の種類や量も増加することになりました。

従来は確認申請時に省略できていた図面のうち、

  • 基礎伏図
  • 小屋伏図
  • 各階床伏図
  • 軸組図

などは、仕様書でしっかり内容を記載すれば省略可能という扱いに変わりました。

ただしここは注意点もあります。

審査はされる前提です。
「添付が不要」=「審査されない」ではありません!

図面の一部が省略できても、構造の安全性はしっかりチェックされるので、仕様書の書き方を含めて慎重に準備する必要があります。

また、今回の変更は省エネ法の改正とも連動しています。

確認申請をするタイミングで、省エネ基準への適合確認(省エネ適判)も同時に行うケースが増えるため、提出する書類全体の構成も見直しが必要です。


詳しい内容はこちらの記事で図解モリモリで解説しています
6条関係の改正まとめを見る


ポイント③|木造構造ルールの改正:高さは緩和、計算は合理化

2025年4月の法改正では、「審査が厳しくなる」方向の変更が多かった中で、
数少ない“ポジティブ”な変更点がこの木造建築の構造ルールの見直しです。

とくに押さえておきたいのは、次の2点👇

  • 高さ制限の緩和 → 許容応力度計算を使える建物の幅が広がった!
  • 壁量計算・柱の小径の見直し → 安全性判断のルールがより合理的に!

以下では、それぞれの改正ポイントをわかりやすく整理していきます。


こちらの記事で詳しくまとめています

高さ制限の緩和(許容応力度計算が使える範囲が拡大)

従来、許容応力度計算で建てられる木造建築は
**「高さ13m以下、かつ軒高9m以下」**までとされていました。

今回の改正では、この制限が少し緩やかになります👇

高さ制限緩和の図解(国交省)
参照:国土交通省「改正建築基準法について」
改正前改正後
高さ13m以下 & 軒高9m以下高さ16m以下 & 階数3以下

この変更によって、階高がやや高めの木造3階建ても、許容応力度計算で設計できるようになり、
とくに都市部の密集地における木造住宅や事務所設計などで柔軟性が高まります◎

また、設計できる建築士の範囲も関わってくるため、
二級建築士の業務領域にも関係が出てくる改正と言えるでしょう。


壁量・柱の計算式の合理化

「緩和された」と思われがちなこの部分ですが、
実際には**“安全性の判断基準が合理化された”という方向性の変更**です。

従来の判断方法:

「屋根が軽いか重いか」で必要な壁量や柱の太さを決めていた

改正後の判断方法:

建物の荷重階高に応じて、必要な壁量や柱径を数式で計算する必要アリ

たとえば、同じ木造2階建てでも
階高が高ければその分必要な耐力壁が多くなる、というように、
建物の構成に即した設計が求められるようになります

お茶島

こちらは“より正確な安全性の確保”を目的とした見直し。
試験でも「軽い屋根・重い屋根」というキーワードが出てきたら誤と判断していくところです。


実務の方は要確認|1年間の「経過措置」

2025年4月からの変更ですが、
令和7年度(2025年4月~2026年3月)には「経過措置」が適用される建物もあります。

対象になる建物の条件は次のとおり

  • 地階を除く階数が2以下
  • 高さ13m以下かつ軒高9m以下
  • 延べ面積が300㎡以内

この範囲に当てはまる場合、上記期間の間は従来の壁量・柱の算定方法で設計してOK。

ただし!

構造審査そのものは省略されません。

「旧基準で設計できる = チェックも緩くなる」というわけではないので注意が必要です⚠️
4号特例のような“審査省略”とは性質が異なります。


詳しい内容はこちらの記事で図解たっくさんで解説しています
木造建築の構造ルールの改正について見る


まとめ|結局、何がどう変わったの?

今回の法改正は、一言でまとめるならば
**「これからの建築は、“エネルギー”と“安全性”をしっかり考えて設計せよ」**というメッセージのようにも感じます。

最後にもう一度、特に押さえておきたい3つの改正ポイントをおさらいします👇


① 省エネ基準の適合が義務化に
→ これまで「説明だけでOK」だった建物にも、設計段階での省エネ対応が必須に。
→ ただし、省エネ適判が不要になる例外パターンも3つあるので要チェック!

② 4号特例の見直しで確認申請の対象が拡大
→ 構造・防火の審査が必要な木造住宅が大幅に増加。
→ 構造図書の添付ルールも変更され、「仕様書で省略可」でも「審査はされる」ので注意!

③ 木造構造ルールの合理化
→ 高さ制限の緩和で、許容応力度計算を使える建物が広がったのは朗報。
→ 一方で、壁量・柱径の判断方法は見直され、合理的な算定が求められるように。


これらの改正は、すべて一級建築士試験にも直結する内容です。
しっかりポイントを整理しておくことで、実務にも試験にも役立つ知識として活かせます。

気になった部分は、各リンク先の記事で詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください〜

省エネ法のまとめを見る

6条関係の改正まとめを見る

木造建築の構造ルールの改正について見る

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この記事を書いた人

アトリエ系設計事務所勤務。
建築が好き。設計も楽しい。
でも自分をすり減らしてまで建築し続けるのは苦しい。
のんきに楽しく建築やれる道を探してます。

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