こんにちは、お茶島です。
豊島美術館ほんとーによかったんですよ。もうほんとに。
だから今回の記事では書ききれませんでした。(スミマセン)
アートスペースに至るまでのアプローチで素敵なことが多すぎて、
本体まで届きませんでした(照)
建築が好きな人なら、きっと一度は写真で見たことがあるはず。
見たことなくても行ったら絶対好きになる。
やわらかくて白い空間に、少しずつ水が湧き出していて、
ただそこにいるだけで、時間も、思考も、ふわっとほどけていくような場所。
写真で見て「すごい」と思っていたものは、
実際に行ってみたら、想像以上に「体で感じるもの」でした。
建築というより、もはや天気とか、空気とか、呼吸に近い。
そんな唯一無二の体験を、
建築が大好きな一人の人間として、できるだけ言葉にして残したいと思いました。
これから訪れる人のヒントになれば嬉しいし、
「行ったことあるよ!」って方には「それな」って共感してもらえたらうれしいです。
行かない人でも行った気になるくらい熱烈に書いていきます。
アクセス・行き方と現地の雰囲気
豊島ってどこ?どうやって行く?
豊島(てしま)は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島。
アートの島として有名な直島や犬島のすぐ近くにあって、同じベネッセアートサイトのひとつとして知られています。
本州からアクセスするには、岡山県の宇野港や、香川県の高松港からフェリーに乗るのが一般的。
私は朝イチ出発の高松港からのルートを選びました。高松駅から港まで歩いて10分くらいなので、アクセスもわりとスムーズです◎
フェリーは30分ほどで到着。
フェリーに乗ってる時間って、なんだか物語の始まりみたいでワクワクしますよね。
別世界に向かっているような感覚になれるのが大好きです。
乗船中も景色が美しくて、すでに美術館っぽい時間が始まってる感すらありました。
以下は豊島美術館の地図です(Googleマップの埋め込み)。広告ではありません。
道中の風景や島の空気感
港に着くと、まず感じるのは空気のやわらかさ。
音が少なくて、時間の流れがゆるやか。空も広くて、体の輪郭がふわっとほどけるような感覚になります。

まずはじめにお出迎えしてくれたのがこちら。手作りの島のマップが可愛いです。
港から美術館までは、自転車かバス、あるいは徒歩。
私はレンタサイクルで電動自転車を借りて、けっこう急な坂を登りながら向かいました。
レンタサイクルは日によってはいっぱいになることもあるので、事前予約がおすすめです。
棚田プロジェクトと、道中で見えた景色
美術館へ向かう途中、棚田と海が一望できるスポットがあって、思わず立ち止まってしまいました。

この風景、ただののどかな田園風景ではないんです。
豊島では、「棚田プロジェクト」という取り組みが行われています。
一度は放棄され荒れてしまった棚田を、地域の人たちやアーティスト、ボランティアが少しずつ再生していく活動です。
これは農業のためというより、風景や暮らしの記憶を次世代につなぐ“文化的な修復”でもあるそう。
美術館への道中に見えた棚田が、そうした背景を持っていたと知って、風景の意味合いが深まりました。
小学校の横を通ったり、棚田を見下ろす坂道を進んだり、
建築やデザインじゃない「やわらかい暮らしの景色」も味わえるのが、豊島の魅力です。
美術館周辺の建築やおすすめポイント
豊島美術館のすぐ近くには、建築家:安部 良さんの作品、島キッチンがあります。
こちらは2021 日本建築学会賞作品賞をとってる作品です。豊島美術館と合わせていけるといいですね。(こちらも要予約です。)
また島キッチンレポも記事にしますね。
展示を見終わったあと、島キッチンでランチをしました。

私はカレーセット。伸びやかな空間でゆったりとご飯を楽しむことができます。
豊島美術館の空間体験レポスタート!(アプローチのみ)
豊島美術館に着いたのは、開館の10分ほど前。
ですが、すこしずつ人が集まり始めてました。
島ともあって、みんな少し楽しそう。
ちなみにこの日は快晴の夏。
現地で自転車を借りることになった人はすでに汗だく……。
なので、行かれる方には電動自転車を強くおすすめします(2回目)。
美術館しか行かないならバスもありです。でも、坂道のことは想像以上にエグいのでご注意を。
……でもまあ、そういう話がしたかったわけではないんです。
ここからが本題。「建築としてのアプローチ」の話です。
まずは受付を抜けて道を歩いていく
美術館についたら、丘の中に四角いRCが埋め込まれたような場所があり、
そこが受付です。

このスケール感がかわいい。これは出たところから撮った写真。
受付を抜けると、一気に空間がひらけます。

海に向かってのびるように、うねっと続いていく道はなんだか生き物みたいですね。
左の方に向かって歩いていきます。

この道、厚みはおそらく100mmくらい。
まるでスチレンボード(建築模型でよく使う白いボード。通称「スチボ」)で作った道がそのまそのままおかれてるみたいでそこもかわいいポイント。
少し歩くと、まるっこい建物が見えてきます。
「おっ、これか!」と思いきや、まだ先です。
こちらはミュージアムショップ。美術館の展示を見終えたあとに立ち寄る場所です。

ショップの横を抜けると、木々に囲まれたエリアへ。

地形をとらえた小道
その前に!森の入口に差し掛かったところで一度振り返ってみると…

私たちが歩いてきた道と、遠くに見える車道が同じようなラインを描いていることに気づきました。
おそらくこれは、地形の起伏を丁寧に読み取りながら設計されている証拠。
まるで等高線にそって道が続いているような感覚になります。
確かに、ここで変に線を決めてしまうより、地形にそって作られた道路とリンクさせた
ほうが、自然にも調和するなと納得しました。
もしくは、地形について考えた結果、自然とリンクすることになったのでしょうか。
どこまでもなめらかで、無理がない。
“線を引く”というより、“風景に道を添わせる”といった印象です。
どこまでも続いていきそうな景色で素敵です。
さて、森の中に入っていきます。
木々のすきまから海が見え、気に囲まれて涼しい。
心地いい空間です。
木漏れ日の中の軽やかな椅子
少し歩くと華奢な椅子が見えてきました。

この椅子の目の前の木は密度が低く、海の方が気持ちよく見えます。
少しの時間、そこに座って、ただぼーっとしてみました。
この椅子、めっちゃ薄いんです。たぶん板厚4mmとか。

そしてこの椅子、裏を見てみると、、、

なるほど、もう一枚溶接してるみたいです。(ボルト締めも)
上から見たらスーッと紙が
浮いてるようなこの椅子はこうやってできてるのか。
アーチのようにたわませてるのも、構造的な強度を出してるんでしょうか。
足の下の地面にどんなものが埋まってるのかも気になるな。
などと考えていました。
瀬島さんや西沢さんの建築は線線が細くて軽やかな表現が多い。
だからこそ、こういう小さなディテールにすごく惹かれてしまうんです。
かわいい靴脱ぎのスケール
もう少しすすんでいくと、

お、また椅子のようなものが見えてきました。

地面の勾配に合わせて高さが変わっていくタイプの椅子。
ゆるやかに道が下っているので、奥の方に行くとちょうどいい高さの椅子になります。
小さな子どもだったら、手前の方がぴったりかもしれませんね。
この奥にある、アーチ状の入口。
その先が、今回の目的である“アートスペース本体”です。
でも、このアプローチだけでもう、満足してしまいそうなくらい美しい体験でした。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
はよ本体行かんかいって思いますよね。私なら思います。
ここまで読んでくれたあなたは最高の人間です。
絶対話合うと思うのでマブダチから始めましょう。
まだ展示空間には入っていないのに、すでにかなり語ってしまいました。
続きは、次回の記事でじっくり書いていこうと思います。
建築好きとしては、この「道」がすでにアートでした……!
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